今年の沖縄県知事選では、12年ぶりに保守系候補の古謝玄太が当選した。
沖縄県は、日本の左派勢力にとって重要な拠点の一つとみなされてきた。米軍基地への反対運動で知られる沖縄で、基地の移設を容認する右派候補が得票率59%で圧勝した。一方、左派候補で現職知事の玉城デニーは、得票率38%にとどまり敗北した。
今回の選挙結果を受け、「沖縄県民は突然米軍基地を望むようになり、右派へと転向した」と考える人もいるだろう。しかし、こうした見方は根本的に誤っている。知事選の結果を理解するには、まず沖縄の近現代史における政治的な特殊性を知る必要がある。
大日本帝国に併合された沖縄
沖縄の歴史をたどると、かつて琉球王国という独立国家が存在したことが分かる。沖縄が日本の統治下に置かれたのは、1879年に大日本帝国に併合されてからのことだ。
日本帝国主義の支配者たちは、当初から沖縄の人々を冷酷に扱った。琉球語を話すことが処罰の対象とされた事実にも、その姿勢が表れている。しかし、日本帝国が沖縄の人々に対して犯した最も重大な罪の一つは、1945年の沖縄戦だろう。この戦闘では10万人もの人々が命を落とした。多くの民間人が犠牲となった背景には、日本軍が住民に「集団自決」を強いたことや、「祖国のために命を捧げる」よう求めたことがある
米国に占領された沖縄
戦後、日本本土は米国に占領され、各地に米軍基地が建設された。沖縄には2,842か所の基地が置かれ、26万人の米兵が配備された。米国にとって沖縄は、太平洋地域における重要な戦略拠点だった。そのため、日本との平和条約が締結された後も、米国はさらに20年にわたって沖縄の島々を支配し続けた。
もちろん、米軍の駐留を認める日米安全保障条約(日米安保)によって、本土でも米国による占領状態が事実上続いていた。
占領軍が責任を問われないまま行動するなか、米兵に対する住民の不満は高まっていった。問題となったのは、核兵器の実験、罪のない民間人への暴行や殺害、基地建設に伴う住民の土地の接収や立ち退きなどだった。不満は1960年の安保闘争へとつながった。この闘争は革命的な性格を帯び、ゼネストも3度にわたって起きた。
この闘争は資本主義を廃止するには至らず、安保体制を終わらせることもできなかった。しかし、日本社会にはさまざまな改革をもたらした。民衆の下からの圧力を受け、自民党は急進的な改革を受け入れざるを得なくなった。最終的に、労働者は国民皆保険や国民年金、公共施設への大規模な投資拡大などの改革の恩恵を受けた。
しかし、沖縄では状況がほとんど変わらなかった。
当時、沖縄の人々は本土との自由な往来を許されず、自治も制限されていた。地元の産業も、米軍基地の運営に関連するものに限られていた。
本土では戦争による被害からの復興が進み、経済成長が始まっていたものの、沖縄は取り残されていた。そこで沖縄の人々は、生活水準の向上を求め、賃上げや税制改革、社会福祉の充実を要求した。また、基地用地の接収が続くことに反対し、沖縄の本土復帰を求めた。
本土復帰後の沖縄
では、本土復帰によって、沖縄の人々が求めていたものは実現したのだろうか。
結論から言えば、そうではない。沖縄県は、全国で失業率が最も高い県であり、平均世帯年収も最も低い。
現在も約3万人の米兵が駐留している。沖縄県の面積は日本全体の約0.6%にすぎない一方、在日米軍の専用施設・区域の約7割が沖縄県に集中している。ある試算によれば、県内の米軍基地が占める土地をすべて産業用地として活用できれば、所得は現在の約3倍になるという。
基地の影響は経済面にとどまらず、社会面にも及んでいる。ある調査では、沖縄県民の82%が、基地に関連する事故や犯罪の被害に遭うことを懸念している。米兵による性暴力や殺人事件も複数発生してきた。特に大きな社会的反響を呼んだのは、1999年に米兵3人が12歳の少女を誘拐し、暴行したうえで性的暴行を加えた事件である。この事件を受け、数万人が参加する大規模な基地反対運動が起こった。
現在も、こうした事件は後を絶たない。ごく最近にも同様の事件が発生した。2026年10月4日には、沖縄県内で女性が現役の米海兵隊員に殺害された。
環境への影響も懸念されている。基地建設工事によって、絶滅危惧種であるジュゴンの生息環境が破壊されるおそれがあるほか、水産業への支障、廃棄物の投棄、生物多様性の低下なども問題となっている。
「反基地」対「経済再生」
では、本題に入ろう。今回の知事選には、どのような候補者がいたのだろうか。
玉城デニーは、落選した現職知事であり、従来の反基地勢力を代表する人物だ。米軍基地の新設や移設に反対する「オール沖縄」運動に参加してきた。
一方、当選した古謝玄太の公約では、経済の立て直しと地域開発が特に強調されていた。また、基地移設問題をめぐって日本政府との協力を重視し、協力することによって危機を和らげられると主張していた。
こうして今回の知事選では、二つの陣営が対立する構図となった。
一方は、従来の反基地勢力である。この陣営には比較的高齢の人々が多く、米国統治下の沖縄を経験した世代も含まれている。反基地運動が目に見える成果を上げられていないこともあり、基地問題を最優先課題と考える人の割合は近年低下している。実際、基地問題を重要課題と考える人の割合は42%から32%へと下がった。
もう一方は、新しい世代を中心とする陣営だ。この陣営は、反基地運動が十分な成果を上げていないと考え、基地問題よりも賃金、物価高、雇用、経済再生といった経済的な課題を優先しているようだ。
従来の反基地勢力が引き続き玉城に投票した一方、多くの若者は古謝に期待を寄せ、新たな選択肢として一度託してみようと考えたようだ。
共産主義者の立場から
まず、沖縄の人々が何を求めているのかを理解する必要がある。日本のどこに暮らす人々であっても同じように、沖縄の人々も仕事、質の高い教育、良好な住環境、そして尊厳ある生活を求めている。これ以上、二級市民として扱われることを望んではいないだろう。
私たち共産主義者は、沖縄の人々の要求を全面的に支持する。人々が自らの生活条件を改善しようとする意思を支持するのだ。では、それを実現するにはどうすればよいのだろうか。
古謝によれば、日本政府や米軍との協力によって、地域住民には経済を発展させる機会が生まれ、状況も改善するという。しかし、それは幻想にすぎないのではないか。むしろ、こうした協力は高市政権による軍備増強を招くだけではないだろうか。
日本で軍備増強が進めば、その費用を負担するのは日本の労働者だろう。沖縄県内の米軍基地の拡大や再編も、日本の軍備増強と結びついている。全国の若者が連帯し、軍備増強に反対すべきだ。軍備増強に充てられる9兆円もの予算を、教育、住宅、インフラ、医療などに振り向けるべきではないだろうか。
高市は日本の帝国主義的な支配層を代表し、軍事支出の増額が必要だと主張している。その根拠として、中国の影響力が強まる太平洋地域で、日本の勢力圏を守る必要があると訴えている。しかし、台湾をめぐって武力を背景にした姿勢を示したことで、日中関係の緊張を高めたのではないだろうか。
言い換えれば、こうした軍事支出の必要性は、日本と米国の帝国主義的な利益を守るために正当化されているにすぎない。近年、地域の緊張が高まるなか、仮に中国との戦争が起きれば、太平洋戦争中と同じように自分たちが犠牲になるのではないかと不安を抱く沖縄県民もいるだろう。
玉城が反基地の立場を取っていること自体は問題ではない。しかし、その戦略や戦術には問題がある。玉城は労働者階級を動員しようとしていないし、明確で戦闘的な綱領を打ち出そうともしていない。平和的なデモや署名運動だけに頼っていては、運動が失敗するのも当然ではないだろうか。
これまでの沖縄の運動は、日本本土の運動と切り離されてきた。資本主義と帝国主義に包括的に反対するのではなく、基地問題を沖縄における地域的不平等の問題に限定して捉える政治家もいた。
沖縄の人々には、日本の資本主義が、最大の競争相手である中国から自らの勢力圏を守るために、自衛隊や米軍基地を必要としているのだと説明しなければならない。日本の資本主義は米国の資本主義に依存しており、米国からの軍事的支援によって大きく支えられている。
沖縄県内の政党には、資本主義そのものを問い直そうとする政党が一つもない。そのため、左翼は政府に政策を変えるよう懇願することしかできない。国際的な緊張が高まると、帝国主義国家は他の大国との競争のなかで、交易路、原材料の供給源、市場を確保するために強力な軍隊を必要とする。左翼は、こうした構造的な問題を見過ごし、軍備増強を単なる政策上の選択肢として扱ってしまう。
だからこそ、軍事基地の問題を根本的に解決するには、日本の帝国主義と資本主義そのものに対する闘争を始めるほかない。
今年、国会議事堂前で行われたデモが示すように、反軍国主義の闘争を求める声は確かに存在する。しかし、これまで運動の指導者たちは、憲法の枠内で認められた手段にしか頼ってこなかった。
こうした運動を指導するには、革命政党が必要だ。私たちRCI日本支部は、その建設を進めている。参加を希望する方は、ウェブサイトの「お問い合わせ」フォームに記入するか、revolutionarycommunists.jp@gmail.com まで連絡してほしい。
基地ではなく、教科書を! 基地用地と軍事予算を教育・住宅・医療に回そう!
アメリカ帝国主義を沖縄から、そして日本全土から追い出そう!
日本全国で軍備増強に反対しよう! 沖縄は孤立していない!
資本主義を終わらせ、帝国主義戦争を終わらせよう! 軍備増強が平和をもたらすことはない! 戦争を止められるのは労働者の力だけだ!
東アジア社会主義連邦の一員として、社会主義の日本を実現しよう!